第11話 リリアン編みの靴下キット/手芸少女だった妹へ
子どもの頃住んでいた町には、小さな手芸屋さんがあって、私と妹はそこでずいぶんお小遣いを使った。フェルトでアップリケ、リボンで金魚、アンダリアでカゴバッグ、スウェーデン刺繍で状差し、アクリル毛糸でロングマフラー・・・。手芸...
お祝い上手
子どもの頃住んでいた町には、小さな手芸屋さんがあって、私と妹はそこでずいぶんお小遣いを使った。フェルトでアップリケ、リボンで金魚、アンダリアでカゴバッグ、スウェーデン刺繍で状差し、アクリル毛糸でロングマフラー・・・。手芸...
年に一度会うぐらいの、細く、でも長く続いている友人・知人がいるのはありがたい。彼女たちと連絡を取ったり、再会する機会がぐんと増えるのが、秋が深まる今時分からだ。年末に向けて、何か、し残している気がするからだろうか。人恋し...
どういうわけか女友達の年齢が偏っている。ひとつは同年代、もうひとつはひと回り下、そしてもうひとつがふた回り下、この3つに分かれる。ちょうどアラカン、アラフィフ、アラフォーだ。 女友達たちはひとりひとり性格も仕事も違う。た...
還暦を過ぎると、周りに「おばあちゃん」が増えていく。私には気配さえないし、敬われるべき精神的成長も見られない。しかし、体には我ながら敬老の意を表したいと思うときがある。湯のみ茶碗やティーポットにはすぐ茶渋がつくけれど、前...
少し前の話だけれど、海外出張の際、お世話になった人へちょっとしたお礼や挨拶代わりにと一筆箋を渡すととても喜んでもらえた。「何か小さなプレゼントをしたり借りていたものを返すときにメッセージを書いて添える」「短い文章でいいか...
年上の女性に贈りものをするのは、むずかしい。だいたい何でも持っているし、いろんなことを知っている。だから驚かせたり、これは特別、と思ってもらえるものはなかなか探せない。気遣いの人だとなおさらだ。高価なものは負担をかける。...
親しい後輩が結婚することになり、お祝いに重箱を贈らせてもらうことにした。今どきではないかもしれないと迷ったが、今どきのところや今だからというところもあるように思えて、でも届ける前に「重箱をあげたいんだけどどう?」とたずね...
出張先で美味しいものに出会ったとき、食べさせたいな、喜ぶかな、と思って送ったことは何度かある。親の家を整理していたら、私が旅先から送った絵葉書がたくさん出てきた。だからまあ、気にかけていなかったわけではないし、それを言い...
「なにそれ?」 自分の経験は四半世紀以上前のことなので、昨年母親になった姪に最近の出産祝いについて尋ねた時のことだ。「もらって嬉しかったのはなに? いらないものはなかった?」。彼女がいろいろ話してくれたなかに初めて聞くも...
今から40年以上前のこと。親元を離れ上京し、しばらくして鉄のフライパンを買った。何かで見知って欲しくなったのだ。 最初に空焚き、くず野菜を炒めての油慣らし。使い終わった後はよく乾かしさっと油をひいてしまう。教科書通りを...