誕生日や記念日、節目の日。特別の日が苦手でずっと生きてきた。お祝いされると居心地がよくない。何かもらっても本当に欲しいものでないと喜べずそれが顔に出るらしい。いきおい人様をお祝いするのにも消極的。要するに自意識過剰で、お祝いごとからはどんどん縁遠くなる人生をやってきた。
それがここにきて宗旨替えの兆候が見え、あげたりもらったりが楽しくなってきた。多分いちばんの理由は加齢。いわゆる人間が丸くなってきての現象と思うが、ひとつの贈り物が転機になってもいる。自分がもらったものではないのだけれど。
10年ほど前、仕事に区切りをつけ東京から房総に移住した知人を訪ねた時のことだ。テーブルの上のガーデングローブに目をやると、指の先、爪のところひとつひとつに赤いマニキュアのようにアップリケがしてあった。聞けば還暦祝いにと、友人が作り送ってくれたのだと言う。新しい生活を始め庭を持った彼女、おしゃれな彼女を思いやる気持ち。それを気負わず、センス良く、とんちを効かせて届ける人がいる。素直にいいなあ、うらやましいなあと思った。
「DOの箸置セット(赤)」4点¥2,160(税込)。楚々とした箱もギフト向き。
お赤飯は自分で炊くこともあるが、和菓子屋さんやお米屋さんで作ってもらうと美味しさが違う。注文できる店を知っておくと何かと便利だ。
それから8年後、60歳を迎えた私は少し歳下の友人たちと渋谷公園通りのかに道楽にいた。今日は何でも注文していいと誘ってくれたのだ。人生初のかに道楽はなんだかとても晴れやかで、浮かれて帰りがけ、レジのお姉さんに「私の還暦祝いで〜」と話すと、かにぼんのキーホルダーをおまけしてくれた。
つけると元気が出る大きな赤いプラスチックの指輪、とても暖かで家でも洗える赤いウールのソックス、赤い糸で60と刺繍したエコバッグ、赤いろうそくを灯したショートケーキ。先輩や友人や仕事仲間がそれぞれに祝ってくれた還暦は人生で一番嬉しい誕生日となり、周りに気のいい女性たちがいることを本当にありがたいと思った。あれこれ悩ましいお年頃にこんな節目があることに頭が下がった。
以来私はサムシングレッドに目が行く人になった。なにせ周囲は今、還暦ラッシュ。次は私が誰かを喜ばせる番だからだ。もちろん赤にこだわらなくとも喜んでもらえるものはあるに違いない。でも実感として赤はぱっ、と気分を上げてくれる。ベーシックカラーの服や住空間に差し色として似合う。そして赤を課題にものを探すのはけっこう楽しい。
〈左〉マリーゴールドのエンボスがついたイギリス生まれのゴム手袋 ¥410(税込)
〈中〉ブラシのロゴに潜む王冠はスウェーデン王室御用達のしるし ¥681(税込)
〈右〉日本の誇る亀の子タワシの伝統を引き継ぐスポンジ¥324(税込)
そう意識してグリーンショップのホームページを見ると、友人たちにあげたいものをいろいろ選べることに気づく。
一番先に目が行ったのは赤い「マリーゴールドのゴム手袋」だ。自分で使っているのでそのフィット感やさらっと感、さらには手にはめるだけでやる気が湧くのも知っている。「KRONのおそうじブラシ」も清潔感のある赤と白のコンビ。スウェーデンの家庭の定番というだけあって使い勝手も良さそうだ。このふたつに長寿の亀がトレードマークの「亀の子スポンジ」をセットにするのはどうだろう。くすっと笑ってもらえるかもしれない。全部合わせて¥1415というプライスも気軽でいい。
ロングパイルツイスト製法で作られたリトルサンシャインのタオル。弾力性、吸湿性に優れなおかつ乾きやすい。バスタオルは63×130㎝。紅白セットもめでたい。各¥5,940(税込)オリジナルボックスは有料。
最近ジム通いにはまっている友人が3月に還暦を迎える時には「リトルサンシャインのバスタオル」をあげたいと思う。かわいい赤でふんわり厚みもある。体を動かした後に使うとリフレッシュできそうだ。家で使っているタオルの色や銘柄は統一しているという人もいるけれど、ジムに持っていくのなら単独で使ってもらえるのではないだろうか。
松、梅、扇、六角。日本のめでたい伝統文様をモチーフにした波佐見焼の「DOの箸置セット」はお赤飯と一緒に手渡すのはどうだろう。セットで食卓に出し、1日華やいだ気分になってもらえたら、願ったりだ。
さて、ご一読いただければわかるように齢60を超えても贈り物は初心者。この連載を通して知識を得たり、学んだりしながらお祝い上手になれたら、と思っています。一年間どうぞよろしくお願いいたします!
文 田中真理子
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