そもそもゆずといえばなんとなく年中日差しが降り注ぐ暖かい地方で栽培されているイメージがしませんか?それも全国でも冬の晴天率が最も低いと言われる北陸で?
私が国造ゆずをはじめて知った年は、とにかく栽培期間のゆず畑での農作業を知りたくて、時々ゆず畑に通ってみました。冬はやっぱりどんよりした北陸特有の天気のせいか、3月まではゆず畑の700余りの木々はただじっと耐えている印象。雪が何回か降り常緑のゆずの葉に雪が乗ると少し重そうに枝を垂らします。北陸の雪は水っぽい重たい雪。なんだか可哀想な気もしますが、その分雪がなくなって暖かくなってくる気配がするころになると、ゆず畑の木々が急に背筋をピンと伸ばしたような感じになります。陽に向かって新しい葉がではじめてくるからでしょうか。畑を囲む山桜が咲き、広葉樹の青葉で周囲の木々が日本の伝統色の色見本のような薄いみどり色に帯びてくる。とにかく冬とは違って目まぐるしく景色が変わっていくのです。そしてある日突然気づくようになるから不思議。円錐型のつぼみがあちこちに出現します。と思ったらさらに数日でまるで夜空に輝く星のように畑全体が白い小さな花で覆われます。いままでずっと耐えて目立たないように目立たないようにして冬を過ごしたゆずの木が一気にパワー全開で存在を主張しているかのようです。
そんなパワー全開のゆず畑では、国造柚子生産組合の組合長の塚田さんがせっかく無農薬なんだから養蜂家に頼んで試験的にミツバチを放してみようと思うと教えてくれました。もし「はちみつ」も取れたら自然の恵みがひとつ増えることになります。受粉促進にもなれば収量の増加も見込めるのではと夢が膨らんできます。さてどうなるか。結果が楽しみです。
能美市国造地区ゆたかなくらし協議会
コーディネーター 森 進太郎
(さんのきファクトリー・代表)